お盆の期間は、亡くなったご先祖様があの世から帰ってくるという日本の仏教行事があり、お迎えに始まり、おもてなし、ご供養、送り出しをします。その間、仏壇やお墓に野菜や果物などでお盆飾りをします。
その野菜にナスやキュウリがあり、牛や馬の形をつくって飾りますが、いつから飾るのがいいのでしょうか?置き方や向きは?刻みにしてもいいのでしょうか?宗派によっても違いがあるのか調べて解説をしています。
目次
いつから飾る?
お盆が始まるのは、一般的に8月13日~8月16日です。
仏壇やお墓、盆棚の飾り、ナスとキュウリも、基本的にはどの場合でも、お盆の初日から最終日までと考えておけば大丈夫です。
地域によってはお盆の時期が数日ずれていることもあります
関東や都市部では7月盆、関西や地方では8月盆を行います。
そもそも、明治5年(1872年)に新暦が導入されるまで、お盆といえば旧暦の7月15日(旧暦盆)でした。
宗派によって違いがある行事です
お盆には、亡きご先祖様をお迎えするという日本の仏教の年中行事があり、仏壇やお墓に「お盆飾り」をしたり、別に「盆棚」を設けたりします。その時にナスやキュウリのお飾りを作って一緒に飾ります。
お盆が始まるときは迎い入れを、中間ではおもてなしやご供養を、終わるときには送り出しをして、盆棚や飾りを片付けます。
また、宗派によって飾り付けやお供え物も少しずつ違っており、浄土真宗のお盆の法要ではお盆飾りや盆棚を仏壇などに置くことはされないということです。
お盆を「盂蘭盆会」(うらぼんえ)と言ったり、亡くなった親族の最初に迎えるお盆を「初盆」(はつぼん)「新盆」(しんぼん・あらぼん・にいぼん)と地域によってもそれぞれ呼び方が違っています。
可愛いやカッコいい!ナスとキュウリ
出典:YouTube:MAMADAYS - ママデイズ -ナスとキュウリのアイデア
お盆飾りのナスやキュウリはまとめて「精霊馬」(しょうりょううま)といわれ、亡きご先祖様や荷物を乗せて運ぶ牛や馬の乗り物の役目とされ、割り箸や楊枝、竹串などで簡単に作れます。
最近では、自動車やバイク、馬や牛の姿に彫刻したりとかっこよく作ったものも飾られています。家族で一緒に作ると楽しいですし、作りながら子どもに、ご先祖様のことや仏教のことも話題にするともっと有意義な夏の時間になることと思います(^^)
ナスやキュウリで精霊馬が作れたら、今度は盆棚にどうやって飾るのが一番いいのでしょうか?牛や馬の置き方や向きなどに決まりはあるのでしょうか?
また、ナスやキュウリが「刻み」にして飾られているところもあります。これらは地域や宗教によって違うのでしょうか・・・そのあたりを調べてみました。
宗派や地域によって違いがあります
地域では、取れる野菜や果物の種類、価格がそれぞれ違うので、ナスやキュウリがサトウキビやゴーヤになったりするといいます。
一般的にナスやキュウリが多いのは夏野菜で、どこにでもあり、価格も手頃なので使われているということでとくに理由はわかりません。
次に宗教では、どのようなものがあるか、葬儀屋のネットや宗教関連の記事から調べました。
葬儀屋にみる仏教宗派の、天台宗・真言宗・浄土宗・浄土真宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗の7種類を選び、それぞれのお盆の行事の盆棚や飾り物、教えや考え方の違いを比べてみました。
浄土宗・真言宗・日蓮宗・天台宗・臨済宗はほぼ同じ
浄土宗・真言宗・日蓮宗・天台宗・臨済宗(5種)では、お盆の時期に、盆棚・精霊棚、盆飾りをします。
「盆棚」の準備で揃えるものとしては、
- マコモのゴザ:(マコモでなくてもゴザで良い)お釈迦様がマコモで編んだ寝床に病人を寝かせて治療されたと言われている。
- 笹竹と縄:仕切りのような結界(聖なる場所とを分ける)を張るといわれている。
- ほおずき:盆提灯に似ているとされ、霊に場所を示す。
- 盆提灯:先祖の霊が迷わないための目印。盆棚の両横や軒先につるしたりして飾る。
- 精霊馬(ナスの牛やキュウリの馬)は:先祖の霊が馬にまたがり、荷物を背負わせた牛を引き連れて子孫のもとに帰ってくるといわれている。
- 水の子(水の実):蓮(はす)の葉の上に洗った米と刻みのナスやキュウリを盛りつけたものも準備(地域による)。
牛馬の形と刻みの形の2種類あった!
ナスやキュウリは、乗り物としての「馬や牛」の形と、たくさんの霊をお迎えするときに「すべての霊に食べ物が行き届くように」という思いの「刻み」の形の2種類があり、同時に一緒に飾ったりもしています。
季節の果物・素麺(乾麺でも湯がいていても良い)・お膳など、たくさんの食べ物をお供えするのは、飢えた先祖の供養のため。
お盆花は、故人が好きだった花を飾ったり、季節の花やキキョウやハギなどを用いられています。
ハギはミソハギ(紫色)が使われているのは、ミソギハギと呼ばれ「みそぎ」の意味を関連付けて、身に罪や穢(けが)れのある者、また神事に従事しようとする者が、川や海の水でからだを洗い清めるということからきています。
ミソハギを水に浸してお供えするところもあるということです。

野菜や果物はもちろん、蓮(はす)の葉やほおずき(オレンジ色)、ハギの花、お供え物などほとんどスーパーやホームセンター、通販でも購入することができます。

曹洞宗はさらに繊細な感じがしました
曹洞宗もお盆飾りや盆棚を作って行事をし、とくに「施食会(せじきえ)」という、餓鬼の供養がとっても大事だとされています。
盆棚を作りますが、お盆期間の前後に、迎え火・送り火をします。この材料はホームセンターやスーパーで購入することができます。(マンションでは取り扱いに注意が必要)
盆棚の造りや考え方、飾り物は他の宗派とよく似ていますが、さらに食べ物のお供えが多く、団子、ぼた餅、湯がいた素麺、炊きたてのご飯を逆さに盛り、真ん中にお箸を立てます。
精霊馬のことを「心まち牛馬」といい、キュウリで作った馬と、ナスで作った牛は同じです。
そして、ここで大切になるのが心まち牛馬の向きとなります。お迎えの時と送りの時では向きが違うので気をつけましょう。
ナスやキュウリの置き方に向きがあった!
- お迎えの時:精霊馬の頭を仏壇に向けて置きます(仏壇にIN)
- お送りの時:精霊馬の頭を仏壇の外に向けて置きます(仏壇からOUT)
以下の動画は、仏壇店が教えている一般的と思われるお盆の飾り方です。ここではナスやキュウリの精霊馬はゴザと同じようなもので作られていて、牛馬の頭の形がわかりやすくなっています。
そして、精霊馬の頭の向きにも意味があり、置き方を教えています。こちらの仏壇店が教えている向きに置いても問題ないと思われます。
浄土真宗はお盆飾りは行いません
浄土真宗ではお盆のことを「歓喜会(かんぎえ)」とも言います。死者が迷うとか苦しむとか祟るそういう考え方がないので、追善供養を目的とした送り火、迎え火、盆棚、精霊棚、盆飾り等は必要ないということです。
100均の物だけで祭壇をつくる方法
尚、お仏壇の値段はピンきりですが、葬儀屋が「100均の物だけで祭壇をつくろう」という面白い動画を出しているのを見つけました。参考になるかもしれませんので以下に紹介します。
工夫次第で、お金をかけずに簡単に祭壇が出来上がり、即席やいざという時に使える技の1つです。先祖供養は心がけが重要で、精神的なことが大事だと言っています。
ところで、家族が代々続く中で成長し、次は自分が親になった時に、たとえばこんなことを聞かれてハッとしたことはありませんか?
「うちの仏教は何派なの?」と・・・(・・?
何派かわからないときは?
自分の家が何派かわからないときに考える手順は、
- 1)お墓のある場所を考えてみる
- 2)そのお墓の近くのお寺を調べてみる
- 3)近くのお寺、あるいは親や親戚がお世話になっているお寺に電話で聞いてみる
- 4)親や親戚に聞いてみる
- 5)仏壇や位牌を見て、調べてみる
ヒヤッとしますね(゚д゚)!そういえば・・・と落ち着いて考えてみてください。何かを手がかりにして調べたり、葬儀屋に電話して相談してもわかると思います。
お盆飾りはいつまでに片付けるの?
お盆が始まるのは、一般的に8月13日~8月16日です。地域や宗派によっても違いので、期間を最初に調べておき、8月盆だとしたら13日にはお飾りし、16日の朝には片付けましょう。
片付け方は?
宗派によって迎え火・送り火をしたら、次にお供え物は基本的に、自分たちで食べないで(袋入のお菓子は良い)、白い紙に、塩をふって清めたお下がり物を包み、最近では土に埋めたり、燃やせるゴミに出したりします。
この時には心の中で「ありがとう」と感謝しながらやると良いとされています。感謝の気持ちが大切なのですね(^^)
菩提寺(ぼだいじ:先祖の墓があり、葬礼・仏事を営む寺)に持っていきお焚き上げを(燃やす)してもらうのが一番ベストです。
それから精霊流しといって川に流したりしていましたが、最近では地域や条例などを確かめ注意して行うようになってきています。
今回のまとめ
日本の仏教の年中行事としてお盆があり、その期間はご先祖様があの世からこの世の自宅に帰ってくるので、お出迎え、おもてなし、ご供養をして、最後の日には送り出しということをします。
お墓やお仏壇に、あるいは盆棚を作ってお盆の飾り付けをします。それには1つ1つの意味があり、ナスやキュウリで作った精霊馬(しょうりょううま)も一緒にお盆の最初の日に飾ります。
ナスやキュウリの精霊馬は、ご先祖様が帰って来るとき馬に乗って、牛に荷物を積んで帰ってくるという乗り物の役目をし、置き方や向きが宗教によって違いました。
ナスやキュウリをそのまま馬や牛の形に作って飾ったり、「刻み」にしたり、同時に一緒に飾ったりと様々でしたし、使われる野菜も地域によって違うということです。
お盆の最後の日の朝には、ご先祖様を送り出し、盆棚や飾り付けも片付けます。お下がり物は塩をふりかけ清めて白い紙に包み、ゴミに出したり、土に埋めたり、菩提寺に持っていきお焚き上げをしてもらったりします。
現在では、精霊流しや川に流すのは注意が必要になってきています。
先祖供養としての日本のお盆行事は、形も大切ですが、「ありがとう」という感謝の気持ちが何より重要だということを教えていただきました。
ナスやキュウリの飾り物にもユニークで楽しい作り方があり、休日に子どもや家族で仲良くお盆の準備をしていくのが先祖供養になるのかなと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございます。
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